上野地域の歴史をたどると、七ガイト・七池・七不思議の話が出てきます。こちらについても調査を開始しました。(2015年11月より)
上野の七ガイト(七がやと)
富士宮には「がいと または がやと」がつく地名(小字)が多くあり、80以上にのぼると言われています。漢字だと ○○谷戸 または ○○々谷戸の文字があてられます。
谷戸は「ヤチ」「ヤト」とも呼ばれ、アイヌ語で低湿地の意味もあります。谷戸は垣内(カイト)、街途、開土などと同義で、田畑にすることを予定して囲った土地での事を指したようです。
この上野にも「ガイト」がつく地名(字)があり、上野地区のがいとを総称して「七ガイト または 七がやと」と言われるようです。いずれも、狐が人をだました、という逸話とセットになっていることが多くあります。そのうち、現在でも使われているガイトには「々谷戸」の文字があてられ、小字名になっています。実際調べてみると、12近くあり、そのうちどのガイトが「七ガイト」に相当し、どんな逸話が存在するのか不明なところがあります。
- 古ガイト(古々谷戸・古谷戸)・・・ふるがやと・ふるがいと。現:上条下区2町内4班・5班
★霧ヶ峰の霧之助とよぶ狐が商人をだましたと言われる。 - 角ガイト(角々谷戸・角谷戸)・・・すみがやと・すみがいと。現:上条上区3町内全域
★大石寺の北西にあるやどり木(宿り木・寄生木)。サクラ、カシ、クヌギ、ビンカン、シイガシ、ツタなどが一本の幹に雑居している。「上条のサクラ」として静岡県の天然記念物に指定されている。上条のサクラ詳細 - 柿ガイト(柿々谷戸・柿谷戸)・・・かきがやと・かきがいと。現:下条上区1町内1班~5班・9班~10班
- 髭ガイト(髭々谷戸・髭谷戸)・・・ひげがやと・ひげがいと。現:下条上区3町内1班~4班
- 峰ガイト(峰々谷戸・峰谷戸)・・・みねがやと・みねがいと。下条。
- 下ガイト(下々谷戸・下谷戸)・・・しもがやと・しもがいと。上条。
- ムジナガイト・・・詳細不明。上野地域の西側と言われる
★「てんもく左エ門」という狐が武士に化けたと言われる。 - 西ガイト(西々谷戸・西谷戸)・・・にしがやと・にしがいと。上条。精進川も一部含む?
- 新井ガイト(新井々谷戸・新井谷戸)・・・あらいがやと・あらいがいと。上条。
- 後ガイト(後々谷戸・後谷戸)・・・うしろがやと・うしろがいと。精進川。
- 檜ガイト(檜々谷戸・檜谷戸)・・・ひのきがやと・ひのきがいと。精進川。
- 向ガイト(向々谷戸・向谷戸)・・・むかいがやと・むかいがいと。精進川。
上野の七池
富士宮=富士山の水が豊富というイメージがあるが、その起伏の激しい地形の関係で、「水があるところには豊富にあるが、無いところは絶望的に水が無い」という両極端な地域が多いというのが本当のところです。上野も例外ではなく、丘陵地の為安定した水の確保には苦労しており、多くの用水が作られ今日に至っています。
それでも、気象により水不足になる事も少なくなく、自分たちで自衛のために池を作って非常時に備えたりしていました。七池もその名残です。戦後、治水の整備が充実しはじめてからは、その用途を終え、多くが埋め立てられるか、個人の観賞用の池となって居ることが多く、それぞれの所在がどのようになっているかは、不明な部分が多い状況です。
そんな中、七池のうちの一つが、下条、牧野酒造北側近隣にあるという伝聞情報があり、平成30年4月、ようやく重い腰を上げて調査に行ったら、下記の「西之原」の池ということが判明し、写真の撮影と掲載許可もいただきました。
- 柿谷戸
- 東光寺
- 出口
- 西之原(牧野酒造北側の民家敷地内)
★地主さんのお話を伺うと、昔(推定、平成一桁台くらいか)は、地元の小学生または中学生の子どもたちが社会科見学で訪れたこともあったようです。 - 宮之前
- 下条根岸
- 東下条
七不思議
調査中
- 2015年11月3日:初版
- 2016年2月1日:七池の記事追加
- 2018年4月30日:七池の西之原の記事+導入記事追加